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昔ながらの漁法で資源と環境を守る春の味覚イカナゴ

2021.06.18

春の訪れを感じる魚の一つであるイカナゴ。瀬戸内海では、本県と淡路島(兵庫県)で主に漁獲されています。

今回は、庵治漁業協同組合(高松市庵治町)の大髙浩一さんにお話を伺いました。

 

庵治でのイカナゴ漁の特長は、込網漁(こましあみりょう)というイカナゴ漁の代表的な漁法で、潮流を受け止めるように袋状の網を広げ、その潮流に乗って流れてくる魚を獲ります。庵治では大正時代に、県下で込網漁を初めて導入し、現在も潮の流れを見ながら1日2~3回漁を行っています。

 

イカナゴは、冬眠ならぬ「夏眠」といって5月頃から11~12月にかけて砂に潜って寝る魚で、1月に産卵をした後から漁が始まります。このため、イカナゴ漁は、2~4月中旬まで行っており、最初は「フルセ(大きさ:10cm程度)」という親を、漁期の後半には「シンコ(大きさ:3~5cm)」という稚魚を獲ります。
昔から全国各地で海砂が取られてきましたが、庵治ではイカナゴが成息する砂地の「瀬」を守ってきたこともあり、現在でもある程度の漁獲量を維持しています。

 

イカナゴは、寒い年には多く獲れるといわれており、今年は、大寒波の影響により、2月に「フルセ」が多く獲れ、3月からは「シンコ」が獲れ始めましたが、その後温暖な気候が続いたため、例年より少ない漁獲量の見込みです。

 

今後の目標は、先祖代々守り受け継いできた瀬戸内海をこれからも大切に守り、より良い瀬戸内海を作っていきたいです。また、海の資源管理にも力を入れ、次世代へと受け継いでいけるようにしたいと考えています。

オススメの食べ方は、シンコを佃煮にした「くぎ煮」です。

また、釜揚げしたイカナゴをタマゴの黄身とともにご飯の上に乗せ、醤油をかけて食べる「イカナゴの釜揚げ丼」もイカナゴの風味を味わうことができます。脂がのった「フルセ」を天ぷらにするとお酒のおつまみにも最適です。