讃岐の郷土料理
LOCAL CUISINE
島そうめんの千本ばし
伝承の背景
小豆島では、虫送りや法事の手伝い、気のおけない同士の集まりや内々で食べるそうめんは「千本ばし」で食べます。にゅう鉢と呼ぶ大きい鉢や上だらいに夏は井戸水、冬には湯を張って浮かし、四方八方から、食べ手の箸が伸びるところから『千本ばし』といわれます。互いにはさんだ麺がつながっていたりすることもあり、たらいうどんの元祖といったところです。小豆島のそうめん作りは、400年ほど前、農作業の暇になる冬の副業として始まりました。原料の小麦や塩、麺に塗るごま油も島内産でした。うどんの原料と同じ小麦粉で細いそうめんに仕上げるには、細く延ばしても切れないだけの十分なデ(粘り)を出すために早朝から2日間にわたる多くの製造工程を経て作られるのです。ちなみに「長さ19cm、重さ50g、その数320〜350本」、これが小豆島手延べそうめん1束の規格です。
伝承一口メモ
・かつて、千本ばしの「だし」には、必ず大豆を使いました。たんぱく質を多く含む大豆は、旨みと甘味を存分に持っています。食べる折は、大豆も共に猪口に入れて食べるしきたりでした。炭水化物の麺にたんぱく質の大豆を添えるのは、今の栄養学的にも納得です。
・かつて、井戸は天然の冷蔵庫でした。腐りやすい麦ごはんをいかきに入れて吊り下げたり、冷たいのがご馳走のスイカやトマト、ラムネも冷やしました。
レシピ
■材料(4人分)
そうめん 8束
細ねぎ 1束
しょうが 1片
【だし】
水 10カップ(2L)
大豆 1カップ(160g)
煮干し 1つまみ(50g)
【つけだしの割合】
大豆と煮干しでとっただし汁:4
しょうゆ:1
酒(清酒):0.5〜1
1. さらしの袋を縫って、この中に煮干しを入れ、大豆と共に水から入れて火にかけ、沸騰までは強火で煮る。あくが出てくるので火をとろ火にしてあくを取り除く。再び火加減を強くし、沸騰させない状態で煮ると再びあくが出るので取り除く。これを4〜5回繰り返す。
2. あとは、とろ火で、はじめの水の量が2/3になるくらいまで水分を蒸発させて、うま味を凝縮させる(2時間弱)。煮干を取り出し、しょう油と酒で調味する。
■そうめんのゆで方
1. そうめんは、束紙を取り除いておく。たっぷりの沸騰湯の中にさばき込み、さっと混ぜ、軽く沸騰を続けながら1分30秒から2分ゆでる。
2. ゆだれば湯を切り、冷水でもみ洗いしてそうめんをしめ、水気を切る。
レシピ一口メモ
■食べ方
にゅう鉢とよぶ大きい鉢(又は上だらい)などに、夏なら冷水、冬なら 湯を張ってそうめんを浮かして、すぐにいただく。猪口にだしと大豆を入れ、刻みねぎ、おろし生姜、季節によってはみょうがの細打ちなどを添える。