讃岐の郷土料理
LOCAL CUISINE

なすびごはん

伝承の背景

主な伝承地域
三豊市高瀬町比地二(ひじふた)地区

暑さが厳しくなると、なすがおいしくなります。昔は、「ばっかり料理」でくる日もくる日もなすばかりでした。採りたては、ピカピカ光っていて、煮てよし、漬けてよし、丸のままおくどさん(かまど)の熱灰の中で焼いてよし。と、どのように調理してもおいしいものです。町内の比地二(ひじふた)地区では、夏になるとたきたてのご飯に味付けしたなすを混ぜた「なすびごはん」がよく食卓にのぼりました。機械化以前の農業は、暑い盛りに田の草取りを余儀なくされました。「上から照らされ、田の水は、風呂の湯のように温度が上がる」女性にとっては、しんどい作業でした。そんな日によく作ったのが、なすびごはんだったと言います。なすびにとり合わせる材料とて無く、切ったなすびに濃いめに味付けをして煮たものを、麦飯に混ぜるだけ。なすびに油でも落とせば、それはおいしくなったといいます。大急ぎで、なすびごはんをかき込んで、また草取りに励んだのです。かつては、三豊なす(きんちゃく袋の口をぎゅっと絞った形で、千両なすの3倍ほどの大きさ)で作ることもあったのですが、水分が多いため、千両なすを用いています。

伝承一口メモ

昔は、ご飯に味付けしたなすだけを混ぜていましたが、近年は、食事バランスを考えたり食欲をそそるように酢飯に混ぜたり、彩りや栄養価を考えてにんじんやえび、卵、しいたけなど好みの食品をとり合わせて作っています。

レシピ

■材料(6人分)
水 3合(540cc)
なす(千両なす) 3個
油あげ 1/4枚
小えび 100g
干ししいたけ 3枚
サラダ油 適量

【すしの合わせ酢】
砂糖 80g
酢 60cc
塩 8g

【調味料】
砂糖 少々
しょうゆ 少々
塩 少々

■作り方
1. 砂糖、酢、塩ですしの合わせ酢をつくる。
2. たき上がったご飯に1.を加え、酢飯をつくる。
3. なすは6cm位の長さで細長く切る。
4. 油あげ、水で戻したしいたけは小さく短冊に切る。
5. えびは頭と背わた、殻をとる。
6. フライパンに油を引き、3.、4.、5.、を加えてさっと炒め、砂糖、しょうゆ、塩で味を調える。
7. 2.に6.を混ぜ合わせて、なすびごはんの出来上がり。

レシピ一口メモ

分量を多く作る場合は、味付けしたなすは、ざるに打ちあげて汁気を切っておく方が、ご飯がべとつかず、ふっくら仕上がります。